株主還元策である配当(増配)と自己株買いの違いとは?それぞれのメリット・デメリットをわかりやすく解説。

近年、企業は株主のものであるという考え方が定着し、いかに企業が株主還元をしているかという点も重視される時代になってきました。

主な株主還元としては配当と自社株買があります。自社株買いの効果と注意点について説明しました。

代表的な株主還元策である自社株買いとは?メリット・デメリットを事例を交えてわかりやすく解説する。

今回は同じく株主還元策として知られる配当との株主還元策の効果の違いについて説明していきたいと思います。

自社株買いの効果(メリット・デメリット)をBSとPLから考察

まず以下のようなバランスシートを持つ企業を想定しましょう。


総資産:
100億円
負債:60億円
株主資本:40億円
発行済株式1億株
株価:
100円

 

この企業の純利益が20億円だった場合に1株当自己資本は以下のように増加します。

 

【今年度純利益20億円・発行済株式数1億株】

今年度純利益20億円・発行済株式数1億株

①1株あたり株主資本=40億円÷1億株=40円
②1株あたり株主資本=60億円÷1億株=60円に上昇

 

一方、自社株買いを10億円行った場合の株価は以下のようになります。

 

【自社株買20億円】

【自社株買10億円】

①1株あたり自己資本=40億円÷1億株=40円
自社株20億円分(20,000,000株取得)、1株あたり株主資本=50億円+0.8億株=62.5円

 

自社株買によって1株あたりの株主資本は増加しました。更に、前回で説明した通りEPSの上昇によっても株価は増加します。

株価⤴ = EPS⤴ ×   PER→

 

では自社株買いが行われる合理的な状況とはどういう場合でしょうか??

 

例えば、上の例で考えてみましょう。

企業としては自社株買いを行うという選択肢と、事業に投資して利益を伸ばすという選択肢があります。

つまり、20億円を新たに事業に投下することにより利益が上昇してEPSが上昇するよりも、自社株買を行う方がEPSが上昇するのであれば自社株買いを行うことが合理的になります。

 

以下のような場合は自社株買いを行わない方が良いという結果になります。

自社株買を行った場合に翌年度の利益が20億円で変わらなかった場合のEPSは20億円÷0.8億円=25円となります。

一方、自社株買を行わず自社株買いを行う予定だった20億円を再投資した場合に利益が30億円に伸びた場合のEPSは30億円÷1億株 = 30円となります。

 

上記の場合、自社株買を行わない場合の方がEPSが上昇するので、自社株買を行わない方がよいですよね。

自社株買いを行うのは経営者が投資できる多大な利益が期待できる有望な事業がない場合に、自己株買いした方が株主還元になると判断した時に行うべきものなのです。

配当の効果をBSとPLから考察

次に配当の効果を同じように考えて見ます。配当しなかった場合は上記とおなじなので割愛します。


総資産:
100億円
負債:60億円
株主資本:40億円
発行済株式1億株
株価:
100円

 

分かり易く配当0円から配当金に10億円を拠出した場合を考察します。

 

【20億円の利益の内配当10億円】

【20億円の利益の内配当10億円】

①1株あたり株主資本=40億円÷1億株=40円


・1株あたり株主資本=50億円÷1億株=50円・・・A
・配当金10億円÷1億株=10円,税引後8円・・・B

A+B=58円

 

自己株買いの時に比べて、税金を20%支払わなければいけない為に配当後の株主価値は自社株買いの60円から58円に減価となってしまいました。

 

更に株式数は不変である為に、一株当たり利益は翌年同じ利益の場合は変わらず自己株買いのようなEPS上昇効果も得ることができません。

配当も自社株買いと同様に事業に投資をしても、大きな利益が期待できる事業が見当たらない場合に合理化されます。

 

例えば今回は具体的な数値を見て考察してみましょう。

ROEが20%で発行済株式数が1億円のA社があるとします。利益が100億円として配当を全くしない場合と、配当を50%した場合以下図のような違いが生まれます。

配当性向によるEPSの比較

① T年度の株主資本100億円から生み出される利益20億円を再投資するとT+1年度の利益は新たな株主資本120億円のROE20%をかけて24億円になります。つまりEPSは24円となります。

②T年度の株主資本100億円から生み出される利益20億円の中から10億円を配当し、10億円再投資するとT+1年度の利益は110億円のROE20%分の22億円となります。つまりEPSは22円となります。

 

>平均的なPERが15倍の場合

配当金無しの場合株価は24円×15倍=360円となります。

一方

配当金有りの場合株価は22円×15倍=330円+税後配当金8円=株主価値338円

となり配当金を出さない方がよいという結果になります。ではこのケースの場合配当を出すことが合理的とされるケースはどのような場合でしょうか。

 

(1) ROEが一定以下に低い場合

上記の例PERが15倍で固定とするとROEが5.4%未満になると配当をした場合の方が配当金税後(20%)ベースで株主価値が高くなります。

(2) ROEが高くてもPERが著しく低い場合

ROEが高くてもPERが4倍のように著しく低い場合は配当することが例外的に合理的な選択肢となります。

 

上記の例でPERを4倍とすると、以下の通り配当金を拠出した場合もしなかった場合も投資家が受け取る果実は同じとなります。

配当金なしの場合:株価EPS24円×PER4倍=96円
配当金を出した場合:EPS22円×PER4倍=88円+ぜいご配当金8円=96円

自社株買いと配当の効果の違いまとめ

途中で横道にそれた分析をしてしまいましたが、今回のテーマである、自社株買いと配当の効果の違いについて纏めます。

自社株買いが配当に勝っている点

当期に税金を支払う必要がなく、複利効果を得ることが出来る点です。

配当は当期に現金として拠出する必要がある為、今期20%の税金を支払わなければいけないのです。

自社株買いは市場流動株式数が減少するため、一株当たり利益が増加する一方、配当にはその効果がありません。

配当が自社株買いに勝っている点

自社株買いは一旦金庫株になったあと再び市場に放出される可能性があるが、配当には不可逆性がありません。

現金が今すぐ手に入るという即金性も配当のメリットです。

まとめ

効果としては自社株買いに優位性があります。ただ、両方とも株主還元策ではありますが無条件に喜ぶべきものではありません。

仮に他に投資して自社株買いや配当以上の利益がでる分野が存在するならば、再投資することが合理的です。また、両者を行うということは良い投資分野が存在しないということを暗示しているのかもしれないという可能性もあります。。

 

当然、前回指摘したように自社株が安すぎる為もっと高く評価されて然るべきだと経営者が判断した可能性もあります。

参照:代表的な株主還元策である自社株買いとは?メリット・デメリットを事例を交えてわかりやすく解説する。

 

また、決算が良かったのでお礼的な意味合いや、キャッシュは稼げているが決算の利益が悪かった為、お詫びの意味を込めてという可能性もあります。

どのような経緯で自社株買いや増配が行われたのかを見ていく必要があるでしょう。

おすすめの投資先

今回紹介したような自社株買いや配当金を出すのが合理的な日本企業として、東証二部や地方証券取引所に上場されているような小型銘柄で現金を異常なレベルで保有しているROEの低い企業です。

これらの企業の中には<図解有り>ベンジャミン・グレアムの投資対象『ネットネット株』を分かり易く解説で記載しているようなネットネット株という現金価値よりも低い価格で評価されている株価の企業が存在します。

 

これらの企業の経営者はそもそも自己株買いや増配により株主価値が高まること自体を知らない経営者が多い為、これらの銘柄の株を取得して積極的に自社株買いや増配を促しz能動的に株価を引き上げる努力をしているファンドが存在しています。

私も投資を行っているのですが、毎年10%程度の投資家ベースでの利回りを還元しており、下落が半年ベースで一度もないという素晴らしいファンドです。

管理人おすすめファンドランキングに纏めておりますので、参考にしてみて下さい!

資産を飛躍的に増やす方法は明確に決まっている

 

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資産を大きく増やすにはどうすれば良いのでしょうか?

マザーズの小型ベンチャー株に思いっきり資金を投入。一か八か、株価が急騰を願ったり、信用取引でレバレッジを思いっきりかけてみるのも良さそうです。仮想通貨の草コインも人生一発逆転があるかもしれません。

断言します。上記のような思考の方は一生資産が増えません。そもそも一発の取引で大儲けを狙えるというのは、同じく容易に資金を溶かす可能性も高いということです。そんなものは投資とは言えません。投機と考えても質が低いです。もう少し丁寧に資産の扱い(延いては人生)を考えてみましょう。思考をガラリと変えてみましょう。

 

大事なのは「リターンが小さくても確実にプラスを、時間をかけて積み重ねていく(複利を生かす)」ことです。世界一の投資家であるウォーレン・バフェット氏も投資で最も大切なのは以下の2つのルールとしています。

 

  1. 絶対にお金を損しないこと。
  2. 絶対にルール1を忘れないこと。

 

資産運用の重要性

この「損をしない」「プラスリターンを確実に積み重ねていく(複利を生かす)」という重要性を理解したところで資産運用は始まります。好きな企業の株、高配当・優待目当てのどういうわけか資産が増えない運用方法はやめましょう。クラシック且つ質実剛健な資産運用を行なっていくべきです。

私も資産運用歴はもうかなり長いです。そしてこの思考に辿り着き、プラスリターン×複利運用を実施してからの資産増加スピードは圧巻でした。この哲学を実践している、私のポートフォリオに入っているファンドも今回まとめてみました。ぜひ参考にしてみてください。

 

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