資産運用で1000万円をどこかに投資する場合、預けた1000万円の元本を減らさないという約束のことを元本保証といいます。
しかし、この元本保証は大きな欠点があります。欠点があるにも関わらず、その元本保証の人気はとどまることを知りません。まず、この記事の冒頭で私が述べさせていただきたいのは「元本保証」という言葉を聞いたら怪しいと思いましょう、ということです。
では、今回の記事では日本人がいかに元本保証型が好きな人種であるか。また元本保証型投資は逆にリスクであるという点を説明していきたいと思います。
日本人の元本保証型投資の割合
まず日本の家計資産と欧米の家計資産の内訳を比べた以下の図をご覧ください。

日本は米国の4倍程度の50%程度を元本保証の預貯金に預け入れており、年金と合わせると9割近くを「元本保証型」の運用に回していると言えるでしょう。預金している行為はたしかに元本保証ではありますが、確率は低いですが過去には取り付け騒ぎなどで銀行からお金が引き出せなくなった歴史があることは覚えておきましょう。保証されるのは基本的に1,000万円までです。
話を戻します。預金の比率を上記の図で確認すると、最早日本人の元本保証への情熱は尋常ではないといえる水準であるといえますね。元本保証ではなく、適切な金融商品に投資をしている米国、英国の状況を見てみましょう。

日本人の資産が1.2倍しか増えていない間に、英国は1.6倍、米国はなんと2倍にしてしまっています。日本人が1000万円を1200万円にしている間に、米国はなんと2000万円にしてしまっているのです。
この差は日本人の金融リテラシーが高まらない限り、引き離されていくのみでしょう。本来は日本人全体が資産を適切に積み上げていくべきですが、しっかり学んで投資をする人だけが、あっという間に周りの人より資産を築いてしまうことになるでしょう。
そもそもですが、投資に回す、とは私たち個人がリターンを期待するのもありますが、投資をすることで経済が回り、国が発展し、日本がより暮らしやすい国になっていくという循環にも期待すべきなのです。あまりにもリターンのない預金に日本人はお金を預けすぎ、また銀行も経済活性化に向け良い融資を行なっているようにも見えないことは、本当にいち日本人として歯がゆさを感じています。
元本保証型投資の種類
では元本保証型投資にはどのようなものがあるのでしょうか。代表的なものを5つ列記しましたのでご覧ください。
①銀行預金
②個人向け国債
③地方債
④個人向け社債
⑤貯蓄型保険
以前まだ日本が高度経済成長期の時代はこのような元本保証型投資でも年率10%程度の利回りを期待することが出来ましたが、残念ながら現在の日本は金融緩和を行い死に体を回避している状況です。
そのため、政策金利はほぼほぼ0%となっているので、日本の元本保証型投資は殆ど資産が増えない投資先となってしまってます。
たしかに日本はデフレ大国ですので、現金として置いておけばインフレが見込めない今、確かに資産は減価しません。現金は減価しません。
しかし、減価しないことをヘッジしているだけでは資産は増えません。現状維持をしていても仕方がないのです。
現在日本は「もう年金を将来配ることができないかもしれない」ということを暗に国民に伝えています。
NISAやイデコはその一環です。国民は自分で資産を増やさなければならない時代が到来しているのです。
元本保証型投資の罠
最も重要なのは先ほど指摘した通り利率が非常に低いことです。
現在利率が0.3%の定期預金で資産を倍にするのは約270年かかります。もはや江戸時代中期ということですね。昭和時代でさえ1円で多くのものが買えていたことを考えると、とてもインフレ率に勝てる気がしません。
一番高い地方債や貯蓄型保険でもよくて2%という低い利率です。またここが重要なのですが、元本保証といいながら全ての場合において絶対的に安全とは言い切れないという点です。
まず銀行預金については、預けた銀行が潰れないと言い切れるでしょうか、国によって預金封鎖が発令され預金が引き出せないという事態は全く想定されないということは言い切れるでしょうか。
次に②から④についても同様ですが、国が地方(記憶に新しいところでは夕張市の破綻)が、会社が潰れないということは言い切れるでしょうか。
最後に⑤についても、その保険会社が潰れないといえるでしょうか?
将来のインフレ率が、預けた保険の利率を上回ることはないと言い切ることはできるでしょうか。
一度契約を行うと解約による手数料、違約金を取られる等のリスクを抱えた上で、将来発生しうるインフレリスクを抱えながら数十年の契約を結ぶのは、相当なリスクテイクであると思います。
総じて言えることは
圧倒的に予定利回りが低く、資産形成を行うのに不十分
殆どの形態で長期間にわたり資金が拘束され、その間に襲うインフレ等のリスクに対応できない
元本保証と謳いながら、デフォルトリスク、倒産リスクは抱えており100%安全とは到底いえない
日本人は他の国民と違い圧倒的にリスク回避的な民族ではありますが、寧ろこのような元本保証の投資に手をだすことにより上記のようなデメリットを被ることを考え、下落リスクを最小限に抑えながら、安定的に10%程度の利益を積み上げていく投資手法を追及していくことにより資産を形成していくことをお勧めします。
試しにアインシュタインの「人類最大の発明は複利だ」から考える複利効果の偉大さと必要な年間利回の算定と複利の注意点で紹介した、方法と同様に試算していきましょう
初期投資額:500万円
年間追加投資額:200万円投資
50歳で退職し早期退職金:2000万円
その後の10年間は溜まった資産から800万を引き出す
このケースで一番利回りが高いと考えられる⑥の貯蓄型保険2%で回した場合を考えて見ましょう。

年齢 | 資産 |
30 | 510 |
31 | 724 |
32 | 943 |
33 | 1166 |
34 | 1393 |
35 | 1625 |
36 | 1861 |
37 | 2102 |
38 | 2348 |
39 | 2599 |
40 | 2855 |
41 | 3117 |
42 | 3383 |
43 | 3655 |
44 | 3932 |
45 | 4214 |
46 | 4503 |
47 | 4797 |
48 | 5097 |
49 | 5402 |
50 | 6734 |
51 | 6053 |
52 | 5358 |
53 | 4649 |
54 | 3926 |
55 | 3189 |
56 | 2437 |
57 | 1669 |
58 | 887 |
59 | 89 |
60 | -726 |
まず60歳到達時で殆ど資金は底をついてしまいます。早期退職は正直言って諦めるしかないでしょう。
また、上記はあくまでインフレが発生しなかった場合の仮定です。インフレが発生した場合は更に状況が厳しくなります。
- インフレヘッジに金購入は有効なのか?金投資は儲かる、それともリスク?
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- 日本で想定されるインフレと対策についてわかりやすく徹底解説!インフレヘッジに適しているのは「株式」「金」「不動産」のどれ?
一方安定的に7%で回した場合は以前紹介した通り、以下のようになります。

この7%という数値は投資の巨人ウォーレン・バフェットの脅威の年平均利回りで触れたバフェットの平均利回り19.6%と比べると現実的な数値で、達成することは十分可能な数値となります。
しかも歴史的に株式運用とインフレはある程度連動する傾向にあるので、元本保証型投資のように想定的に自らの資産が減退していくことを眺めるということに陥る可能性も抑えられます。
抑々、世界の富裕層は元本保証のような投資や預金でおいておくということはしません。
ではどこに投資すべきか?
この問いは簡単に答えられます。歴史に聞けばすぐに答えが出るのです。株式投資です。

1802年からのデータになりますが、株式投資が6.7%の平均リターンを誇っています。
現金に関しては近年はマイナスに転落していますね。
では、持ち金を全て株式投資で個別銘柄を購入すれば良いかというと、それは違います。非常に危険です。株式投資はハイリスクハイリターンの世界ですので、初心者が急に大きく儲けることは不可能に近いです。
それほど相場というのは危険な、氷河にいるかのように冷たい水に足を突っ込み、歩んでいかなければならない場所です。
私自身もしっかりとしたリターンが出るようになったのは5年ほど経験を積んでからです。また、上達したにも関わらず、マイナスに終わってしまう年もあるくらいです。
そのことから、私は個別株投資はポートフォリオの10%以下に設定しています。
資産のほとんどを株式投資でしっかりとリターンを出す、ヘッジファンドに預けています。
株式投資でリターンを出す投資信託も探して、時には購入してみたりもしました。以下は日本の投資信託のパフーマンスですが一般的に売られているアクティブ型ファンドは指数にすら大きく劣った結果となってしまっています。

そして、投信の重要な欠陥を理解してしまい、投信を購入するのはやめました。以下で詳しく説明していますので参考にしてみてください。
→ 投資信託で大損するリスクをわかりやすく説明!手数料よりも深刻な利回りの悪さ。〜投信営業マンの嘘を暴く〜
株式投資でハイリターンを出すヘッジファンド
ヘッジファンドとは絶対収益型ファンドであり、下落相場でも積極的にリターンの獲得を狙います。
運用をしているのは投資のプロ中のプロであるファンドマネジャーです。
ヘッジファンドはその運用リターンの高さから、年々機関投資家、富裕層を中心に注目を集め、運用残高の推移もリーマンショック時をのぞいて右肩上がりになっています。

以下の記事でヘッジファンドとはそもそもどのような組織体なのか、おすすめのヘッジファンドなどを記載していますのでぜひ参考にしてみてください!
【2021年】日本のおすすめヘッジファンドランキング!投資する際に気をつけたいポイントを徹底解説。
https://businesspartnervoices.com/3fund/
まとめ
元本保証型の投資はおすすめできません。日本はインフレがなかなか起きませんが、だからといってキャッシュオンリーで運用をしなければ、大きな資産を築くことはできません。
大きな資産を築く必要がなくても、やはりしっかりとした運用をしている人とは大きな差が開いていきます。
正しい運用をすれば手間いらずで資産が増える機会を損失している今の状況を早期に打開することをおすすめします。

資産を大きく増やすにはどうすれば良いのでしょうか?
マザーズの小型ベンチャー株に思いっきり資金を投入。一か八か、株価が急騰を願ったり、信用取引でレバレッジを思いっきりかけてみるのも良さそうです。仮想通貨の草コインも人生一発逆転があるかもしれません。
断言します。上記のような思考の方は一生資産が増えません。そもそも一発の取引で大儲けを狙えるというのは、同じく容易に資金を溶かす可能性も高いということです。そんなものは投資とは言えません。投機と考えても質が低いです。もう少し丁寧に資産の扱い(延いては人生)を考えてみましょう。思考をガラリと変えてみましょう。
大事なのは「リターンが小さくても確実にプラスを、時間をかけて積み重ねていく(複利を生かす)」ことです。世界一の投資家であるウォーレン・バフェット氏も投資で最も大切なのは以下の2つのルールとしています。
- 絶対にお金を損しないこと。
- 絶対にルール1を忘れないこと。

この「損をしない」「プラスリターンを確実に積み重ねていく(複利を生かす)」という重要性を理解したところで資産運用は始まります。好きな企業の株、高配当・優待目当てのどういうわけか資産が増えない運用方法はやめましょう。クラシック且つ質実剛健な資産運用を行なっていくべきです。
私も資産運用歴はもうかなり長いです。そしてこの思考に辿り着き、プラスリターン×複利運用を実施してからの資産増加スピードは圧巻でした。この哲学を実践している、私のポートフォリオに入っているファンドも今回まとめてみました。ぜひ参考にしてみてください。
