皆さんタックスヘイブンと聞いて悪いイメージを持たれている方が多いと思います。近年ではパナマ文書が話題を呼び、イメージの悪化が加速しているのではないでしょうか?
おそらく日本人の皆さんの印象としては以下となっているかと思います。
違法?
犯罪行為の温床?
怪しい?
そもそも何なの?
そして、我々ヘッジファンド投資家としては、タックスヘイブンは他人事ではありません。ヘッジファンドは税的なメリットを享受するためにタックスヘイブンで運用していることが多いからです。
そしてなぜヘッジファンドはタックスヘイブンを利用する傾向が高いのかという点について書いていきます。
タックスヘイブンとは?
タックスヘイブン、直訳すると税避難所です。ヘイブンと聞くと天国という印象ですが、実際には避難所の訳が正しいです。
つまり税率が日本の定義でいえば法人税率が20%未満又は完全に免除された国又は地域のことを指します。
これらの国は先進国や資源国等の強みがない国々が、外国資本を誘致する為に税率を著しく引き下げたり、又は完全に撤廃するという選択を取っているのです。
え?税金0だったら誘致してもお金が入ってこないから意味ないじゃん。と思われますが、そこに企業がくるだけで雇用も生まれますし、そこで働く人たちによる需要も生まれ経済が活性化するのです。
いわば、弱小国の苦肉の策ともいえるでしょう。
然し、このタックスヘイブンが近年はやりすぎて、先進諸国からタックスヘイブンへの企業移転がすすみ、これに危機感を覚えた一部の先進諸国でも税率を引き下げてタックスヘイブン化している国も出てきています。
日本は35%と世界の中でも結構高いですね。何故こんなに高い所得税、法人税でこんだけ国の借金が膨らむのか憤怒のかぎりですが、それはまた別記事で書いていきます。
現在有名なタックスヘイブンとして挙げられるのは以下です。
欧州:
オランダ、アイルランド、モナコ、ジブラルタル、リヒテンシュタイン等、なんとイギリスも2017年からタックスヘイブンということになっています。中近東:ドバイ、バーレーン
インド洋:
セーシェル諸島
アジア:
香港、シンガポール
中央アメリカ:
ケイマン諸島、バージン諸島、バハマ諸島、米国デラウェア州
まだまだありますが有名どころだけを書き上げました。我々に身近なのはシンガポールや香港といったところでしょうか。
因みにケイマン諸島だけでも日本の資金が63兆円と米国についで巨額になり、如何に富裕層や企業がタックスヘイブンを活用していることがわかります。
タックスヘイブンが問題視される理由
まず何故企業が利益を上げられるかということなんですが、それは当然事業を行っている国の人たちに買ってもらったり、その国の社会インフラがあるからビジネスが成り立つわけですよね。
つまり、登記だけタックスヘイブンで行って、実際に事業を行っている国には税金を支払わないということは、事業を行っている国からは便益を享受しているにも関わらず、何も貢献していないことになります。
その他の企業が支払っているものを支払っていないいわば、フリーランチ状態になっているということです。
当然、税率が0のケイマン諸島等でビジネスを行っているのであれば、支払わなくてもいいのですが、
日本でビジネスを行っているにも関わらず、ケイマン諸島で登記となっては、我々日本人からしたら冗談じゃないぞということになります。
その為、法整備も進んでおり、日本ではタックスヘイブンにペーパーカンパニー(要は登記だけを行っている法人)に利益を集中させても、
子会社法人と日本の法人税率の差を日本本店が法人税として支払わなければいけない仕組みが敷かれている為、タックスヘイブンでずるが出来なくなってきています。
ヘッジファンドがタックスヘイブンを利用するわけ
愈々今回の本題なのですが、海外の著名ヘッジファンド含め、基本的にヘッジファンドと呼ばれる運用主体はタックスヘイブンを利用しています。
この理由は非常に明快で運用利回りを極大化する為です。
例えば1000万円をヘッジファンドに預け入れ運用して毎年20%の運用結果が出るファンドがあるとします。
このファンドがタックスヘイブンを利用する場合と税率35%の国で運用する場合で、運用結果にどのような差がでてくるでしょうか。
タックスヘイブンの国では最後の20年目に、日本に引き戻した際の納税を仮に30%とした場合で計算すると以下のグラフのようになります。(因みに人によって引き戻しの際の税率は異なるので注意してください)

タックスヘイブンで運用:3523万円
税率35%で運用:4709万円
途中で税金を徴収されるか、最後に一括納税するかで実に1200万円もの運用利回りに差が出てきてしまいます。
タックスヘイブンでは毎年35%徴収される為、毎年の複利効果が抑制されてしまいます。毎年じわりじわりととられるより、最後に引き戻した際に一括で納税した方が最終的な運用利益は小さくなってしまいます。
ヘッジファンドは絶対的な利益を追求するので、当然合理的な手法をとることが是とされます。顧客の為にもタックスヘイブンで運用した方がいいですからね。
タックスヘイブンを利用するヘッジファンドへの投資は悪なのか?
結論として違法ではないですし、悪でもありません。ヘッジファンドは確りと法律を守って、タックスヘイブンに投資をしております。
例えば、有名なセーシェル諸島に登記する為にはドバイに一定期間身を置く必要がある等の成約がありますが、
法律を遵守した上でないと、事業は立ちゆかなくなるので当然遵守しています。
また実業と違い投資活動に関しては、世界のどこにいても、投資は出来ますので、その国の社会に恩恵を受けて利益を得るというより、世界経済そのものの成長を種に利益を得ているわけです。
更に最終的に資金を引き戻す際に日本に資金を還流させる時に税金を支払うので、法的にも倫理的にも悪いことをしているわけではないのです!
むしろ資産運用として投資することにより、本来発生しなかった運用益がうまれ、日本に税金を引き戻すときに支払うことになるので、トータルでは日本社会に貢献するということになるのです!
税的なメリットにより、複利効果を損なうことなく資産を効率的に運用したいという方はタックスヘイブンを利用したヘッジファンドへの投資も検討してみて下さい!(詳細はランキング記事で)

資産を大きく増やすにはどうすれば良いのでしょうか?
マザーズの小型ベンチャー株に思いっきり資金を投入。一か八か、株価が急騰を願ったり、信用取引でレバレッジを思いっきりかけてみるのも良さそうです。仮想通貨の草コインも人生一発逆転があるかもしれません。
断言します。上記のような思考の方は一生資産が増えません。そもそも一発の取引で大儲けを狙えるというのは、同じく容易に資金を溶かす可能性も高いということです。そんなものは投資とは言えません。投機と考えても質が低いです。もう少し丁寧に資産の扱い(延いては人生)を考えてみましょう。思考をガラリと変えてみましょう。
大事なのは「リターンが小さくても確実にプラスを、時間をかけて積み重ねていく(複利を生かす)」ことです。世界一の投資家であるウォーレン・バフェット氏も投資で最も大切なのは以下の2つのルールとしています。
- 絶対にお金を損しないこと。
- 絶対にルール1を忘れないこと。

この「損をしない」「プラスリターンを確実に積み重ねていく(複利を生かす)」という重要性を理解したところで資産運用は始まります。好きな企業の株、高配当・優待目当てのどういうわけか資産が増えない運用方法はやめましょう。クラシック且つ質実剛健な資産運用を行なっていくべきです。
私も資産運用歴はもうかなり長いです。そしてこの思考に辿り着き、プラスリターン×複利運用を実施してからの資産増加スピードは圧巻でした。この哲学を実践している、私のポートフォリオに入っているファンドも今回まとめてみました。ぜひ参考にしてみてください。
